トランプ米大統領は19日、下院が前日実施した自身の弾劾訴追決議案の採決で反対票を投じた民主党のジェフ・バン・ドリュー議員が共和党に入党すると発表しました。同議員の所属政党変更に伴いホワイトハウスで開かれたイベントで、記者団に対し「非常に大きな発表だ。ジェフが共和党に加わる」と語った。トランプ氏の横にはバン・ドリュー氏の姿があり、トランプ氏の経済政策への支持を表明し、自身にとって共和党がよりふさわしいとの結論に至ったと説明しています。
下院は18日の本会議で、トランプ大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾訴追決議案を賛成多数で可決しており、トランプ氏が政敵のバイデン前副大統領に関する調査を行うよう外交を悪用してウクライナに圧力をかけた「権力乱用」と、議会調査への協力要請を拒否するよう政権幹部らに指示した「議会妨害」の2つの弾劾条項の両方に反対した民主党議員は2人おり、このうちの1人がバン・ドリュー氏でした。
アメリカ史上三人目の弾劾訴追
アメリカ史上、弾劾訴追された大統領は3人目で、これを受けて有罪か無罪かを決める弾劾裁判が年明けにも議会上院で開かれることになります。
しかし、共和党員が大多数を占める米上院がトランプ大統領の弾劾訴追決議案を承認するはずがないとも言われており、弾劾が果たして成功するか注目が集まっています。
弾劾訴追する民主党の狙いとは?
米国研究を行う、高等経済学院欧州および国際研究センターの副所長ドミートリー・スースロフ氏は共和党員が大多数を占める上院が弾劾訴追決議案を承認する確率は実際のところゼロだと断言している。スースロフ氏は、民主党はこれをよく分かった上で、将来の目的を追求するためにこれを行っているとして、次のように語っています。
「民主党の目的は、来年の大統領選挙に影響を及ぼすこと。大統領の弾劾訴追によって中立層や浮動票の層にトランプ氏に票を投じさせず、その対立候補に投票させるよう働きかけること。トランプ氏は前の選挙でまさに、ヒラリー・クリントン氏に投票するかどうかを迷っていた多くの選挙民を取り込んで勝利した。民主党はこのシナリオの蒸し返しを望んでいない。」