イランが米ドルへの依存を減らすために、ムスリムの暗号通貨を作ることを提案

イランが米ドルへの依存を減らすために、ムスリムの暗号通貨を作ることを提案
2019年12月26日 PLUES
In ニュース, 政治

マレーシアで2019年12月にクアラルンプール・サミット(イスラム諸国首脳会合)が、マレーシア、イラン、カタール、トルコの各国首脳のほか、イスラム諸国の要人やエリートら数百人が参加する中開幕しました。そこでイランのハッサン・ルーハニ大統領がイスラム諸国に対し米国主導の経済依存の状況を脱却するよう促す意見を述べました。具体的にはイスラム圏において地域通貨とムスリムの暗号通貨を活用したいとしています。

米の経済制裁を受けて逼迫しているイラン

2018年5月にアメリカは、イランが核合意(JCPOA)から単独離脱して以降、「最大の圧力」政策を掲げてイランに対する経済制裁を強化しています。経済制裁は現在まで継続しており、一向に弱まる兆候は見られないばかりか、最近になりさらに強化されている中で、イランはその影響でガソリンの値上げを民間への予告なしに実施し、民衆からの抗議デモが頻発しています。これによって少なくとも300人以上の抗議者が殺害されています。

アメリカから脱却したい意向とは裏腹に、経済制裁によってもろに影響を受ける形になった今回。今回のイベントにてアメリカから脱却して独自の経済圏と独立性を保ちたいとして周辺諸国に促しています。

「イスラム諸国は、アメリカの金融体制の支配から身を守るべき対策、設計をすべきです」

地域通貨の発行と貿易協定を結ぶ?

ルーハニ大統領は、イスラム諸国の間で金融システムを新たに創設し、貿易に現地通貨を使用し、相互の関係を深めるために相互の貿易特権や暗号通貨を作ることを提案。背景にあるのはポピュリズム=過激主義の高まりと、政府の弱さ、貧困、腐敗などに対して西側諸国が内政干渉をし、シリア、イエメン、アフガニスタンなどの主権が損なわれるという危惧です。

後は、イスラム諸国間の技術協力における共同基金を設立し、AI=人工知能とサイバースペースに共同研究センターを設立することを提案しました。

今回会議に欠席しているイスラム系の国はサウジアラビア。サウジアラビアは現在のイスラム協力機構の事務局長ですが、サウジアラビアとイランは激しい対立関係にあり、欠席したとみられています。世界最大のイスラム国家であるインドネシアとパキスタンも会議に参加しませんでした。

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、イスラム世界を結びつけるプラットフォーム構想は「非現実的だ」と批判。

「パレスチナ問題に関する進展はまだない。他国からの資源の搾取を抑止することも今のところできず、また、宗派主義をめぐるイスラム世界の分散化も止まる気配はないではないか?」とエルドアンは続けます。彼は、世界の紛争の94%をイスラム教徒が占め、世界で販売されている3つの武器のうち1つが中東に輸出されているとし、「イスラム教徒は武装と紛争のために資源を使用しているが、そうしている間に彼らは西洋の武器商人を豊かにしている」と彼は言いました。

イスラムがまとまらない限り西欧諸国が豊かになるとという皮肉な実情が垣間見える結果となりました。

イスラム教徒による過激な行動は問題である

今回のイスラム諸国首脳会合の開催国であるマレーシアのマハティール・モハマド首相は、イスラム教徒が世界中の「イスラム教に対する偏見、不当な恐怖」をもたらしたテロ行為によって自分たちの宗教を傷つけたと語り、ジハードは、結果として世界中のイスラム教徒のさらなる抑圧と無実の犠牲者の殺害につながった、と彼は述べました。また、イスラム圏は教育に焦点を合わせ、先進国に追いつくために科学技術の能力を強化しなければならないと述べました。

イランのハッサン・ルーハニ大統領は12月20、21日、2000年のハタミ大統領以来19年ぶりに訪日し、安倍晋三首相と首脳会談をしたほか、日本企業や関係機関幹部らとも会合を持ち、その様子がイランのメディアでも大きく取り上げられています。そこで中東の平和と安全の協力歓迎、投資呼び掛けも日本政府や企業に呼びかけました。

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