India’s finance minister Nirmala Sitharaman, who is slated to present the country’s annual budget tomorrow (Feb. 1), has her task cut out.
インド政府は、今日2月1日に2020年新年度の暫定予算案に発表するとしていましたが、インドの財務大臣ニルマラ・シタラマン氏はインド国内の問題に頭を抱えている事でしょう。
インドの経済成長は数年ぶりの低水準です。 昨年のインド中央銀行による5回連続の利下げや9月の法人税率の引き下げも、国内消費を回復させることができませんでした。 どちらかといえば、減税によって今年度の収益は200億ドルの損失にとどまりました。
政府が試算していた予想より低かった実際の税収は政府の今後の不安な先行きを示しています。 今政府に求められている対応は、雇用の創出と、農村部の実質賃金率の低下を阻止するための財政出動かもしれません。
シタラマン財務大臣がこの財政出動に際し、財布のひもを緩める事に躊躇する場合、代わりに多くの借入を介して行われなければならず、それは財政赤字目標を危うくする可能性があります。
これから紹介する以下の経済指標は、彼女のジレンマを最もよく捉えています。
①GDPの成長率は?=GDP growth, or the dearth of it
世銀が発表している公式の予測では、2020会計年度のインドのGDP成長率は5%で、11年で最低です。 シタラマン財務大臣は、2019年7月に発表された最初の予算で、2024年までにインドを5兆ドル規模の経済にするという目標を設定していました。しかし、そのためには経済が毎年8%から9%の間で拡大する必要があります。
一時期は8%台の成長率を記録していインドを再び復活させるために講じる措置は、どのようなものか、注目でしょう。
②消費のスランプ=Consumption slump
現在GDP全体の60%以上を占めているのは国内消費です。2012会計年度では消費金額の伸びは17.5%から2019年の9%へと低下してしまっています。これはGDPのん低下よりも急な下がり方です。
主要な原因は、農村部の賃金の低下と失業。ムンバイのインディラガンジー開発研究所(IGIDR)の経済学教授であるナガラージ氏は、こう述べています。 また、マハトマガンジー国立農村雇用保証法(MGNREGA)に基づくインドの農村部雇用プログラムへの資金配分の低さも問題だ、と彼は付け加えてます。
③不良債権=Low credit offtake
個人や企業の信用力の欠如が国内消費が伸びやなむもう一つの理由です。
モディ政権は、不良債権の問題に取り組むことができず、結果銀行は不良資産(NPA)を心配して融資などではリスクを取らないよう慎重な姿勢を示し続けています。
この状況を悪化させているのは、インドの影の銀行の危機=シャドーバンキングです。シャドーバンキングは銀行融資以外のルートで資金を提供する信用仲介機能を指しますが、CARE Ratingsのエコノミストルッチャ・ナラディブ氏は、 「非銀行系金融会社が提供するクレジットの20%近くが小売部門に割り当てられている」と語っています。
その結果、インドの各商業銀行の信用の伸びも低下しています。
④投資の減少=Investment decline
リスク回避に走った銀行の動きから、投資額は2012会計年度のGDPの34.3%から2020年には推定28.1%に減少しました。
⑤インフレーションが顕在化=Inflation rears its head
2019年12月、インドの小売インフレは7.4%に急上昇し、2014年7月以来の最高となりました。食料品価格は、モンスーンによる供給混乱により12%上昇しました。
小売インフレ率は現在、インド準備銀行が設定する4%のコンフォートゾーンを大きく上回っており、消費額が落ち込んでいる中で発生したインフレ状況下では利下げは出来ません。2019年には、レポ金利(レポ市場で現金を貸し借りするときの金利)を累積1.35パーセントポイント引き下げました。
ただし、インフレがさらに上昇する可能性は低いという見方が一般的です。 「新鮮な作物が新たに登場したため、小売市場での食料品の価格は下がっています。」CARE RatingsのアソシエートエコノミストであるSushant Hede氏は、次のように述べています。
一方、食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率は、2019年に急落しました。
⑥工場は沈黙=Factories fall silent
India’s industrial output contracted for three consecutive months from August 2019. The fall in the index of industrial production (IIP) in September was the steepest in six years—one more sign that the economic slump is deep-rooted.
インドの工業生産高は、2019年8月から3か月連続で縮小しました。9月の工業生産指数(IIP)の低下は、6年間で最も急でした。これは、経済不況が根深いことを示しています。
⑦財政不振=Fiscal slippage
In Budget 2019, Sitharaman had sought to limit fiscal deficit, the difference between the government’s expenditure and revenues, to 3.3% of GDP. With lower-than-expected tax collections in the ongoing financial year, this target may be missed. “We are expecting a fiscal slippage by around 0.5% in FY20,” said Hede.
That leaves little room for Sitharaman to increase government spending, without giving a pass to fiscal deficit targets.
2019年予算では、シタラマン財務大臣は財政赤字、つまり政府の支出と歳入の差をGDPの3.3%に制限しようとしました。進行中の会計年度の税収が予想よりも低いため、この目標達成も難しい可能性があります。
財政赤字の目標を達成する事なく、シタラマン財務大臣が財政出動を行う余地はあるのでしょうか。
予想としては成長が優先されるはずでしょう。 「財政出動なしには雇用機会の創出と経済成長は達成出来ないはずです。 ですから、政府は財政赤字が許容範囲内で拡大すべきだと思います。経済のアウトプットが改善されると、赤字比率は修正されていくと考えます。」
ただし、財政赤字の拡大は、政府による追加の借入につながる可能性がありますので注意が必要です、とGeojit Financial Servicesのエコノミスト、Deepthi Mary Mathewは述べています。
⑧センセックス指数=Sensex defies gravity and logic
上記のような悪い経済ニュースが相次いでいるにもかかわらず、金融市場は目を見張るような高さを拡大しています。センセックス指数とは、インドのBSE(ムンバイ証券取引所)の株価指数ですが、2019年、Sensexは14%上昇しました。
「Sensexは14%上昇は少数の企業株式によってのみ推進されています。 昨年、小型株と中型株のほとんどが低調でした」とインドのエコノミストの方は述べています。
それでも、シタラマン財務大臣は今のセンセックス指数の上昇を楽観的に考えたくはないはずです。 結局、今の金融市場において上昇していく値動きは、今後インドの成長が復活するという希望的観測によるものです。 「今の金融市場は、主に企業業績の改善への期待と、経済を復活させるための政策措置の発表によって推進されていると見られています」と、インドのエコノミストの方は述べています。
⑨世界銀行の評価:Doing business
世銀がリリースしている経済指標「Doing business」の中で、Ease of Doing Business rankingsというビジネスのしやすさを表したランキングがあり、ここでインドが急上昇中(1/31時点で63位)である事は今回唯一の希望の光でしょう。高いのか?