市が混乱に陥ってから半年が経ち、その将来にわたって分裂が明らかになりました。
サウスチャイナモーニングポストは、新しいシリーズで、香港への道と、人々が直面するであろう課題に注目しています。
区議会議員選挙は香港民主派の勝利
香港にいる親中派の政治家は、2019年11月の区議会議員選挙の結果を受け、さらに民主派が台頭することを恐れています。
Pro-democracy camp(民主派)は、11月24日の選挙で18の地方議会のうち17の議決権を掌握し、市民からの圧倒的な支持を得ました。これを受けて、北京政府の顧問は、次回2020年9月に同様の投票行動が予見される=民主派の勝利の可能性があると述べています。
中国北京にある北航大学のロースクール准教授であるTian Feilong氏は香港における「一国二制度」を損なう可能性があると述べています。
今回の選挙によって民主派が勝利し、国で定めている制度が選挙を通じて変更でき、ひいては一国の安全保障危機を引き起こす政治プロセスをもたらしましたと考えているようです。このん教授は香港の問題について中国の指導者に助言しています。
選挙の勝利は完全な民主主義への長い道のりの第一歩
11月の選挙で議席を獲得した民主派とは別に、議席を落とした議員は今回の選挙をどのように受け止めているのでしょうか?
香港の親中左派政党である民主建港協進連盟 (DAB)のある議員(39歳)は、油尖旺区という香港行政区の議員を11年務めていましたが、今回の選挙で民主派に押し出される形になりました。
2019年6月から半年経った香港で行われている反政府抗議デモは、当初は香港が犯罪人引き渡し協定を締結していない国・地域の要請に基づいて、容疑者引き渡しを可能とするもの逃亡犯条例の改正に対する集会として始まったものの、一層暴力的になり、過激な抗議とより広範な要求に転じました。
「出馬を決める前から難しい選挙だとわかっていた」と話すDABの落選議員。
反対に勝利した民主派の党首のウー・チーワイ(57歳)氏は、今回の選挙の勝利は完全な民主主義への長い道のりの第一歩に過ぎないと述べています。
中国・政府寄りの不透明な政治システムを変える
所得水準の高い湾仔(ワンチャイ)地区でも、親中派を抑えて灣仔起步(キックスタート・ワンチャイ)という民主派党の候補者が5名当選しています。
そのうちの一人Clarisse Yeung Suet-ying氏は、今の行政システムを再構築することが必要と考えています。
「過去に圧倒的に親政府であった地区評議会の抑圧的なルール作成や、策定プロセスを根本的に変える必要がある」と彼女は述べており、また今回投票していない人たちなど、浮動票や支持基盤を拡大するためにやるべきことはまだたくさんある、とも指摘しています。
香港では現在1,200人のメンバーからなる委員会を通じて香港特別行政区行政長官(=香港のトップ)を選出していますが、今回の選挙を受けて民主派グループは、地区評議員で確保された委員会の117議席をベースに、委員会の民主党支持派約300人ほどの議員メンバーを追加する予定としています。
次回2022年の行政長官の選出にも大きな影響を与えるかもしれません。
香港のデモや政府への対立は今後も続く
香港に本拠を置く香港マカオ協会の副議長であるLau Siu-kai氏は、民主派による政権の変更が起こる事については否定的な見方をしています。
先ほどの行政長官の選出に際しては、中国政府の任命を以って選ばれる為、香港の最終的な支配権は中国政府側にあり、香港の立法議会である香港特別行政区立法会(通称LegCo)が中国寄りの人材を選ぶ可能性はないでしょう、という認識です。
しかし、香港人権法の署名をアメリカ側が行うことを表明したように、香港を巡ってアメリカVS中国の構図と、その場所が香港になっていることも事実です。これは中国以外の国が干渉しているという事実であり、中国は北京は地元の民主化運動の影響の高まりと、香港情勢における海外からの干渉を明らかに懸念していると思われます。
北京に本拠を置く中国社会科学院アメリカ研究所の副研究員であるウェイ・ナンジ氏は、中国に対する報復のために香港が西洋諸国、特にアメリカに使用されていることから、香港の混沌とした状況はすぐには変わらないだろうと述べています。