ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアとの戦争における即時停戦を求める声に対し、「安全保障の保証なしでは、停戦は誰にとっても失敗となる」と述べ、これを明確に拒否しました。
また、先週金曜日にホワイトハウスで起こったドナルド・トランプ前大統領との激しい対立について、関係を修復する必要は感じていないと発言しました。しかし、引き続きアメリカ国民には感謝の意を表しているとも述べました。
「この関係は、一時的なものではなく、継続するものです」と、ゼレンスキー大統領は日曜日にロンドンで開催された欧州首脳との会談後に語りました。彼はこの発言を、トランプとの衝突に動揺するウクライナの同盟国に向けたメッセージとして発信しました。
停戦を求める声とゼレンスキーの懸念
トランプ前大統領とその支持者たちは、ウクライナが停戦に応じるべきだと主張しています。この意見には、英国のワシントン大使であるピーター・マンデルソン卿も同調しました。
しかし、ゼレンスキー大統領は、2014年のロシアのクリミア侵攻後、東部ウクライナにおける停戦合意が守られなかったことを理由に、保証のない停戦は誤った選択になると警鐘を鳴らしました。
「戦争の終結と安全保障の保証がなければ、誰も停戦を管理することはできません」と、ゼレンスキー大統領はロンドン・スタンステッド空港で語り、帰国の準備を進めました。
フランス・英国の停戦提案とゼレンスキーの見解
フランスの新聞ル・フィガロは、フランスと英国が「1か月間の停戦（空・海・エネルギーインフラへの攻撃停止）」を提案したと報じました。しかし、ゼレンスキー大統領はこの報道についてコメントを控えました。
英国のキア・スターマー首相は、ウクライナの安定化に向けた国際的な支援策を検討しており、フランスなど他国と協力し、トランプ前大統領に欧州の支援策への関与を促す計画を進めています。
ゼレンスキー大統領は、スターマー首相の発表について「良い兆候」としながらも、「まだ詳細を詰める必要がある」と慎重な姿勢を見せました。
「私たちは、安全保障の保証をどのように具体化できるのか、明確な行動計画を作り上げる必要があります」と彼は語りました。「保証がなければ、現在の戦闘が終わった後も同じ状況が繰り返される可能性があるのです。」
トランプとの関係と今後の対話について
ゼレンスキー大統領は、金曜日の対立以来、トランプ前大統領と直接の連絡は取っていないと述べました。しかし、両国の政府高官同士では引き続き連絡が取られていると説明しました。
また、ゼレンスキー大統領は、ウクライナの鉱物資源を米国政府と共同で開発する契約について、「自身の閣僚が署名する用意がある」と語りました。この契約は、本来金曜日のホワイトハウス会談で締結される予定でした。
米国からの軍事支援と今後の展望
ゼレンスキー大統領は、トランプ政権との間に多くの矛盾したメッセージが飛び交っていると指摘しました。
「政府機関同士がさまざまな信号を送り合っています。しかし、直接の対話の時間を確保したほうがシンプルであると考えています」と述べました。
「彼ら（トランプ陣営）の戦略はわかりませんが、私は交渉の場で「サプライズ」を望んでいません」とも付け加えました。
ウクライナが米国の追加軍事支援なしでどれほど持ちこたえられるかについて問われると、ゼレンスキー大統領は**「新たな支援が提供されることを期待している」**と回答しました。バイデン前大統領の政権下で承認された支援の継続も求めています。
「支援が停止すれば、それはロシアのプーチン大統領を利するだけです」と強調しました。
まとめ
ゼレンスキー大統領は、ロシアとの即時停戦の要請に対し、「安全保障の保証がなければ意味がない」と明確に拒否しました。彼は過去の停戦合意が守られなかった歴史を踏まえ、実効性のある保証が必要だと強調しています。
また、ホワイトハウスでのトランプ前大統領との対立については、「関係の修復は必要ない」としながらも、米国との協力を継続する姿勢を示しました。
英国やフランスによる新たな停戦案、そして米国との鉱物資源契約など、今後のウクライナ外交には多くの課題が残されています。
ゼレンスキー大統領は、今後の交渉がウクライナの将来を左右する重要な局面にあるとの認識を示しながらも、国際社会との連携を深める方針を強調しました。
