レバノン援助サミットが開催され、3億ドルを直接レバノン市民に提供

レバノン援助サミットが開催され、3億ドルを直接レバノン市民に提供
2020年8月10日 PLUES
In ニュース, 政治

レバノン援助サミットが開催され、3億ドルを集めて「直接」人々に提供することを決定しました。
資金は、医療、食料安全保障、教育、住宅の回復を支援するためのもので、逼迫するレバノン情勢を回復させるために欧米首脳がバーチャル会議で決定しました。

欧米を中心にレバノン支援に乗り出す

西アジアに位置する共和制国家レバノン、首都はベイルートです。首都ベイルートでの爆発事故の危機的打撃を受けて、フランスを中心に国際的な支援の結集を目的とした会議でレバノンへの人道援助に約3億ドルを誓約しました。

各首脳によるリモート会議後の共同声明で、資金援助は「レバノンの住民に直接提供される」と述べ、150人以上が死亡し約6,000が負傷した災害について「公平で信頼できる独立した調査」を求めています。

会議を率いたフランスのエマニュエル・マクロン大統領のオフィスは、会談を通して約2億5300万ユーロ(2億9800万ドル)の寄付が集まったと語りました。マクロン氏は冒頭の発言で、基金は主にヘルスケア、食料安全保障、教育、住宅を支援すると述べました。

「レバノン政府は今、レバノンの人々が要求する政治的および経済改革を実施しなければならず、それだけで国際社会がレバノンとともに復興のために効果的に行動できるようになる」とマクロン氏は語りました。

フランスは過去20年間にレバノンを対象としたinternational donor conference=国際援助会議を開催しており、その会談の中では改革を推し進めることを条件として支援をする表明をしていました。

現在レバノンは、2011年ほどから続く経済危機とコロナウイルスの発生に加え、火曜日の爆発による壊滅的な余波により、最大30万人が家を失いました。

爆破の震源地であるベイルートの港では、市内の病院や学校が破壊された一方で、穀物貯蔵庫が撤去されました。


このドローンの映像は、都市の一部を破壊し、少なくとも158人が死亡し、数千人が負傷した#Beirut爆発の壊滅的な余波を詳しく調べています。 pic.twitter.com/axuQD6HzX5— Al Jazeera English(@AJEnglish)2020年8月9日

国連主催の下、開催されたオンライン会議には、36の国と国際機関が参加し、その参加者には、トランプ米大統領、カタールエミールシェイクタミムビンハマドアルタニ、ヨルダン国王アブドラ2世、エジプト大統領アブデルファタエル氏が含まれました。

決定した支援項目としては、欧州委員会から6,300万ユーロ(7,400万ドル)、フランスから5000万ドル(5900万ドル)。カタールから5千万ドル、クウェートから4,100万ドル、デンマークから2,600万ドル。ドイツから2000万ドル。キプロスから500万ユーロ、カナダから$500万ドルとなっています。

金額は、レバノン政府ではなく、国連、国際機関、NGOを通じて送金されるようです。資金が腐敗した政治家や官僚により失われるのではないかと懸念するレバノン国民の要求に沿ってこのようなスキームになりました。

フランスマクロン大統領はまた、8月にベイルートを訪れた際に公的調達システム、汚職との闘い、中央銀行と金融機関の監査に加えて、レバノンのエネルギー部門(年間最大15億ドルに及ぶ)への改革を求める要請を繰り返しています。

「国が沈まないように行動し、レバノン人がベイルートの街でまさにこの瞬間に合法的に表明した願望に応えるのは国の当局次第だ」とマクロンは言った。

「暴力・混沌が勝ることがないように、私たちは改善しなければなりません。」

なぜフランス?

フランスはレバノンの旧宗主国なので、彼らが主体となって行動した形になります。

大規模な集会は今も続く

レバノンでは大規模な抗議行動で、政府治安部隊が催涙ガス、ゴム弾、ショットガンの砲弾を使用したときに728人が負傷したと語りました。

“We have reached our limit. Enough corruption, enough negligence.”

「私たちは限界に達しました。腐敗と過失。」

レバノンの機動隊は#Beirutのデモ参加者に催涙ガスを発射した様子も映っていますが、悲惨です。

大規模爆発の起きたレバノンの首都ベイルートで8日、数千人が反政府デモに参加した。地元メディアによると警察官1人が死亡し、700人以上が負傷した。爆発の背景には政府機関の怠慢や腐敗があるとみられ、市民は怒りを募らせる。ディアブ首相は早期の選挙実施を求めています。

レバノンでは、2019年10月,増税措置等への反対を契機とする大規模な反政府デモがベイルートなどのレバノン各地で発生。抗議内容は次第に増税反対から現在の政治体制への抗議や汚職の根絶等を要求する内容に変化し,デモ参加者たちは「テクノクラート内閣」の樹立を要求。こうした中,同年10月29日,ハリーリ首相が辞任を表明。同年12月19日,アウン大統領はハッサン・ディアブ元教育相に組閣を指示し,2020年1月21日にディアブ新内閣が成立。しかしオブザーバーの意見では、長年にわたる経済の不始末を監督した官僚・エリートとの関係が今も依然としてあり、今回のコロナウイルスでさらに状況は悪化していると指摘。レバノンは1990年の内戦終結以来最大の経済危機に直面しています。

レバノンは金融危機に突入しており、政府が2020年3月に、初めて債務不履行を宣言。通貨下落により、輸入に依存する生活用品が値上がりし、生活環境の悪化に対する全国的な抗議が発生した2019年10月以降、商品の価格は少なくとも60%急騰しています。

市民生活はかなり不安定な状況です。手段は武力行使しかないのでしょうか。

4日に起きた爆発事故

レバノンの首都ベイルートで8月4日午後6時ごろ(現地時間)に発生した倉庫火災は大爆発を引き起こし、超音速の爆風がベイルートの街全体を駆け抜けた。映像を見ると、港に近い倉庫で発生した火災に続いて大きな白いキノコ雲が勢いよく立ち上がり、爆発の衝撃波で通りが焼き焦げ、建物は倒壊し、車や人が吹き飛ばされ、窓ガラスが砕け散りました。この爆風は10km先まで及んでいるそうです。

5日時点で少なくとも135人の死亡が確認され、4,000人以上が負傷していました。今はもっと増えている可能性があります。爆発の原因としてわかっている約2,750トンの爆発性の高い硝酸アンモニウムについて、ベイルートの港に6年以上保管されており、さまざまな治安部隊、司法当局および政治家がその存在を知っていながら、爆発の危険を回避するための行動をとっていませんでした。

レバノン人は怒りが沸き上がると、政治家の処刑を暗示するようになり、土曜日にはベイルート中心部の殉教者広場で国の政治指導者たちの模擬処刑を行いました。

参照:アルジャジーラ